私は、お化け屋敷に携わるようになって、かれこれ30年以上経っています。多くのお化け屋敷を制作し、大勢のお客様を見てきました。
そういう中で思うことは、お化け屋敷というのは、本当に奇妙で興味深いエンターテインメントだ、ということです。
そもそも、恐怖というのは生きていく上で、できるだけ避けたい情動です。普通に暮らしていて、人は怖い目に遭いたいとは思わないものです。
しかし、それがエンターテインメントという衣を纏った途端に、人間は俄然興味を示してきます。避けていたはずの恐怖に自ら進んで近づいていきます。
なぜそんなことが起こるのでしょう?
お化け屋敷を作って運営しながら、私は、そんな奇妙な心の動きがどこから生まれてくるのか、なぜ人はお化け屋敷に入ろうと思うのか、どうして人は恐怖に惹かれるのか、などを考えるようになりました。
ここでは、お化け屋敷の中で考えたそんなことを、思いつくままに、書いていこうと思います。
五味弘文
※記事の更新は二週間毎を予定しております。