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恐怖の待ち人



恐怖の待ち人

 

場所 広島パルコ新館9階 イベントスペース
期間 2023年7月29日(土)~8月27日(日)
 
  

このワンピースが完成したら、私は可愛くなれるのに。

広島パルコ新館9階 イベントスペースにお化け屋敷が出現です。

■公式ホームページ:「恐怖の待ち人」公式ホームページ


  

ストーリー

子供の頃、叶望(カナミ)の母親は裁縫が得意で、彼女によく服を作ってくれました。
ある日、きれいな花柄の生地を見つけてきたと言って帰ってきました。
母親はその生地で、カナミに自分とお揃いのワンピースを作ってくれると言いました。
「このワンピースを着たら、カナミきっと可愛くなるわ」
母親は生地を裁断してまず自分のワンピースを作りました。確かにそれを着た母親は、とてもきれいでした。カナミも早くワンピースを作ってもらいたくてたまりませんでした。
カナミのために、子供サイズに生地を裁断して待ち針を打ち、いよいよ縫製という時です。
雨の日に、母親は、突然姿を消してしまいました。あの可愛いワンピースを着て、誰かと一緒に出かけたきり、帰ってこなかったのです。
カナミは待ち針の打たれたワンピースを抱えて、何日も何日も、母親の帰りを待ちました。
もう少ししたら帰ってきて、このワンピースを完成させてくれるはずだ。
そう願いながら待ちましたが、母親はとうとう帰ってきませんでした。
 
成長したカナミは、看護士になりました。
ある時、目を患った光平という男が入院してきました。手術は成功しましたが、目の包帯が取れるまで、しばらく入院生活を送らなくてはなりません。担当になったカナミは、歳が近いもこともあって、いろいろと話をするようになりました。一度話を始めると話題は尽きず、次第に二人は惹かれあっていきました。
「カナミさんはとても声が可愛いね。きっと可愛いんだろうな。早く包帯が取れてカナミさんの顔が見たい」
光平はそんなことを言うようになりました。光平に心を寄せていたカナミは、そんな言葉が嬉しくてたまりませんでした。
私も光平さんの目を見たい。
カナミも内心でそう思っていました。
やがて、目の包帯の取れる日がやってきました。診察室で包帯をとった光平の目には、あらゆるものが輝いて見えました。
病室に戻った光平は、退院の支度をしながらカナミの来るのを待ちました。
やがて姿を現したカナミの顔を見て、光平の顔が一瞬曇りました。しかし、それは一瞬のことで、光平は明るい笑顔を見せると、カナミに感謝を述べました。
二人は一週間後に、ショッピングビルの前で待ち合わせをして、食事をする約束を交わしました。
 
約束の日はあいにくの雨でした。カナミは時間よりも30分も早く待ち合わせの場所に行きました。やがて待ち合わせの時間になりました。光平は姿を現しません。
10分が過ぎ、30分が過ぎ、1時間が過ぎました。カナミは、傘を差したまま、その場で待ち続けました。けれど、光平は姿を現しません。
カナミは、包帯が取れて自分を見た時に、光平の顔に浮かんだ微かな翳りを思い出しました。それでも、カナミは待ちました。しかし、とうとうその日、光平は待ち合わせにやってきませんでした。
 
その次の日もまた次の日も雨でした。カナミはその場所で光平を待ちました。
しかし、光平は現れません。
家に帰ると、カナミは母親の残した未完成のワンピースを広げてみました。
いつの日か帰ってきて、このワンピースを縫製してくれる。
そう思って、そのまま大切にしていたワンピースです。
このワンピースが完成したら、私は可愛くなれるのに。
そんな夜に、思わぬ知らせが届きました。
失踪していた母親が、自分の知らない土地で亡くなったというのです。
カナミは大きな衝撃を受けました。母親が自分の知らないところで生きていたこともさることながら、もうこのワンピースを縫製してくれる人がいなくなってしまった、ということが、何よりも強く彼女を揺さぶりました。
もう待っても、ワンピースを作ってくれる人はいない。いくら待っても、私を可愛くしてくれる人はいないんだ。
カナミは、ワンピースの待ち針を抜きました。
一本、二本、三本……。
抜いていくと、ワンピースはもうその形を留めず、ただの裁断された布切れになっていきました。それはもう、少しも可愛くないただの布切れでした。
カナミは抜いた待ち針を集めると、それを見てこう思いました。
これは、私がきれいになるのを待つ針なんだ。でも、もう私を可愛くいしてくれるお母さんはいない。
カナミは、待ち針を手の中に握りました。
その時、カナミの頭にある考えが浮かびました。
でも、私を可愛くしてくれる人が、もう一人いた。
そう思うと、手のひらに刺さった針の痛みも、カナミには気になりませんでした。彼女は家を出ると、夜中の街を歩き出しました。
看護士という職業柄、光平の住所はわかっていました。
カナミは、迷うこともなく、光平の部屋のドアの前に立ちました。
ドアをノックすると光平が現れました。驚いたその目は、退院する病室で見た時と同じでした。
カナミは、戸口に立ったまま光平に言いました。
「ごめんね、私、待ち合わせ場所を間違えてた。待ち合わせ場所は、ここだったんでしょう?」
そう言うと、カナミは握っていた待ち針を光平の両目に突き刺しました。
光平は、悲鳴を上げて痛みに悶えて床を転がりました。そんな光平に、カナミは近寄って優しい声をかけました。
「これで包帯の取れる前に戻ったよね? これで、あの時と同じように可愛いって言ってくれるよね? 私、また可愛くなったよね? これが、待ち合わせだったんでしょう?」
カナミは目を押さえて叫び声を上げる光平をそっと抱くと、その耳元に囁きました。
「痛くしてごめんね。私も同じくらい痛くなるから許してね」
そう言うと、残りの待ち針を口に含み、一気に飲み込みました。
 
警察が駆けつけた時、光平の部屋には口から血を流すカナミの体が横たわっていました。亡くなったカナミの体内からは、臓器に刺さった大量の待ち針が見つかったということです。
 


Photo

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概要

タイトル 広島八丁堀お化け屋敷「恐怖の待ち人」
URL https://www.fashion-press.net/news/106120
場 所 広島パルコ新館9階 イベントスペース 広島県広島市中区新天地2-1
期 間 2023年7月29日(土)~8月27日(日)
時 間 10:00~20:30 ※入場は閉場の30分前まで
料 金 入場:1,000円(税込) ※小学生以下は保護者同伴 ※未就学児無料
所要時間
Staff 【主催】広島PARCO/マグマワークス
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