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顔はぎの家


顔はぎの家
  

場所 イオンモール秋田
期間 2014年7月19日〜8月31日
   

幽霊の手鏡を覗くお化け屋敷

~美しい人は怖くなる~秋田美人に向けたお化け屋敷。
鏡台にあなたの姿を映してみて下さい。
あなたが志乃に気に入られたなら、鏡に志乃の姿が映るはずです。
  
■公式ページ:秋田お化け屋敷「顔はぎの家」


ストーリー

花の色は うつりにけりな徒に 我が身世にふる ながめせしまに
  
小野小町の有名な歌です。そこでは花にたとえながら、自分の美しさが衰え、人の心が移ろっていくむなしさや悲しみが歌われています。
  
志乃は、透き通るような白い肌をした非常に美しい女性でした。多くの男性が彼女に憧れていましたが、その心を射止めたのは深草という男でした。
二人はやがて結婚の約束を交わし、結納が行われることになったのは春先のことでした。
結納が数日後に迫ったある日、志乃の頬に小さな吹き出物が出てきました。肌が白く滑らかなだけに、たった一つの吹き出物は余計に目立ってしまいます。
気になった志乃は、化粧品の販売を行っている親友の夏美に相談しました。すると、その吹き出物を隠すことができる白粉を渡してくれました。その白粉を塗ってみると、吹き出物はすっかり見えなくなり、その上、肌の色が真珠のように美しく輝くのでした。
夏美の勧めてくれた白粉のおかげで、結納はつつがなく終わりました。それどころか、深草の両親は志乃のことがたいそう気に入った様子です。
輝くように白い肌の別嬪さんだ。
深草の両親は、誇らしげに人々に吹聴しました。
その話を聞くと、これから深草の家に嫁ぐという不安も薄らぎ、志乃も嬉しくなってくるのでした。
けれど、そんな喜びの裏で、顔の吹き出物は一向に治りません。それどころか、ひとつ、またひとつと増えていきます。志乃はそれを隠そうと、鏡台の前に座って白粉を塗り続けました。結納の時に吹き出物を隠したことはほんの些細なことでしたが、いつのまにか顔じゅうに広がった吹き出物を隠しているのは、深草やその両親を欺く大きな秘密になっていました。
季節は移り梅雨の長雨が続くと、その白粉の下で肌は赤黒く爛れ始めました。誰もが羨んだあの美しい白い肌は、もうそこにはありません。
日を追うごとに肌は爛れ、次第に白粉でも隠せないようになっていました。そのことを深草に悟られないように、志乃は大きなマスクをし、髪を前に垂らして過ごしました。
夏になり結婚式が近づいたある日、衣装合わせが行われました。白無垢に着替えた志乃は、髪の毛を上げ、マスクを外さなくてはならなくなりました。その顔は、もはや白粉など何の意味もないほど赤黒く爛れ、志乃をよく知っている者でさえ、俄に彼女だとわからないほどでした。
扉を開けて入ってきた深草は、鏡越しに志乃と目を合わせました。期待に胸を躍らせていた彼の顔に、たちまち恐怖と嫌悪の表情が浮かぶのを、志乃は見逃しませんでした。
深草はいろいろと取り繕いながら、適当な理由をつけて一旦結婚式を延長しようと持ちかけてきました。志乃は内心ホッとしながらも、鏡に映った深草のあの表情に、大きな不安を抱いていました。
その予感は、やがて現実のものになります。
思い悩んだ深草が志乃の親友の夏美に相談するうちに、いつしか彼の心は彼女に移るようになっていったのです。
深草は、以前のように会社帰りに志乃の家に立ち寄ることもなくなってきました。彼女が腕を振るって夕食を用意しても、もうそれを食べる人はいません。それでも、深草の好物の刺身を用意するために、志乃は刺身包丁で魚の皮を剥いでは切り身にしていきます。今夜も、明日も、明後日も……。
 
そんな折、志乃が通っていた病院で、皮膚の爛れの原因がわかりました。それは、ある種の毒を顔に塗ったためだというのです。けれど、志乃にはそんな覚えがありません。
やがて思い至ったのは、あの白粉でした。
あれだけは、自分で買ったものではない……。
疑念を抱いた志乃は、夏美の部屋に忍び込みました。そこにあったのは、見覚えのある深草の歯ブラシやひげ剃りでした。疑念は確信に変わりました。
その頃には、もう白粉の毒が彼女の頭も侵し始めていたのかもしれません。志乃は押し入れに潜り込んで、夏美の帰りを待ちました。
やがて帰宅した夏美が鏡の前で化粧を落としていると、背後から声が聞こえてきました。
  
「顔を返して……」
  
鏡越しに見ると、すぐ後ろに、白無垢から赤黒く爛れた顔を覗かせた志乃が立っていました。
夏美が振り返るやいなや、その首に包丁が突き立てられました。悲鳴を上げる間もなく、彼女は倒れました。志乃は、その上に馬乗りになると、夏美の頬の下に刺身包丁の先を差し込みました。
魚の皮を剥ぐ要領です。志乃は、黙々と夏美の顔の皮を剥いでいきました。剥ぎ終わると、その皮を顔につけて鏡台の前に座ってみました。
きっと深草は喜んでくれるにちがいない。
志乃は、鏡に映った自分の姿を見て、そう考えました。
やがて帰ってきた深草の見たものは、顔の皮を剥がされた夏美の死体と、鏡の前で自分を迎える人面マスクをかぶった白無垢の女の姿でした。
深草は悲鳴を上げると、部屋を飛び出してしました。
志乃には、美しい顔に戻ったのに、なぜ結婚式をやり直してくれないのかがわかりません。
きっと、この顔が気に入らないのだ。
志乃はそんな風に考えました。
  
それからその町では、美しい女性が襲われて顔の皮を剥がされる、という事件が相次ぎました。犯人は、白い花嫁衣装を着ていたということです。
それは、美しい顔を求めて刺身包丁で顔を剥ぐ志乃の仕業でした。
もちろん、そんなことを繰り返しても深草が彼女の許へ帰ってくるはずもありません。狂気と苦悶の果てに、志乃は自ら命を絶ってしまいました。
  
彼女が死んだ後も、志乃の姿を見かけたという噂が絶えません。
夜中に鏡を見ていると、背後から声が聞こえてくると言うのです。
  
「顔をちょうだい……」
  
その声に目を上げると、すぐ後ろに人面マスクをつけた志乃が立っています。
  
志乃は、今もまだ美しい女性を捜しています。
どうか鏡台にあなたの姿を映してみて下さい。あなたが志乃に気に入られたなら、鏡に志乃の姿が映るはずです。
けれど、気をつけて下さい。あなたは、志乃に顔の皮を剥がされてしまうかもしれません……!


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オプション

顔はぎの家お化けTシャツの販売や、イオンモール内店舗との連携がありました。


概要

タイトル 秋田お化け屋敷「顔はぎの家」
URL 秋田お化け屋敷「顔はぎの家」
場 所 イオンモール秋田 3階 イオンホール特設会場
期 間 2014年7月19日〜8月31日
時 間 平日/14:00 ~ 21:00(最終入場20:30) 土日祝祭日・8月11日~15日/12:00~21:00(最終入場20:30) 8/30(土)・31(日)は10時オープン
料 金 1,000円(税込)、小学生以下600円(税込)※未就学児入場不可
所要時間
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