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幽霊旅館


廃墟旅館お化け屋敷 幽霊旅館 

場所 日間賀島の廃旅館にて
期間 2021年1月23日〜2月28日 追加公演:3月18日〜22日
 
  

廃墟旅館のお化け屋敷

好意を寄せていた直次郎からつれなくされて海に身を投げてしまう依子。
悲しんだ依子の母は島の言い伝えを思い出し、我が子のべっ甲の櫛を海に流し戻ってきてくれることを願います。
けれど戻ってきた依子は、、、
 
島で起こった恐怖の物語 やってはいけないまじない。
海から蘇ってくる死者。 呪われた廃墟旅館。
島の夜は、恐怖に包まれている。
あなたは島に泊まり、その旅館の呪いを解かなくてはならない……。
 

2021年1月23日から2月28日まで日間賀島での宿泊者限定・完全予約制でお化け屋敷を開催!!
日間賀島をテーマにしたオリジナルストーリーと演出で恐怖の世界に誘います。


■ 『廃墟旅館お化け屋敷 幽霊旅館』公式HPはこちら

物語

その島には、ひとつの言い伝えがありました。
昔、一人の少女が行方不明になりました。狭い島内を探しても、全く足取りがつかめず、人々は、彼女が海に流されて亡くなったのだと噂し合いました。
一年が過ぎた頃、ようやく気持ちに区切りをつけた両親は、少女の供養にと、彼女が肌身離さず持っていた人形を海に流しました。
ところが、それから数日が過ぎたある日、海に出た漁師が引き揚げたものを見て、驚きの声を上げました。一匹のタコがその足の中に、大切そうに少女の人形を抱えていたのです。
人形はすぐに両親に戻されましたが、みんな首を傾げるばかりでした。
その夜のことです。
玄関を叩く音がするので両親が出てみると、そこには誰もいません。不思議に思って部屋に戻ると、廊下に濡れた足跡がついています。その小さな足跡は、紛れもなく少女のものでした。それからも、毎晩のように少女は家に訪れ、時にはその姿を見かけることもありました。亡くなった少女が、毎晩会いにきてくれているんだ、と二人はとても喜んだ、ということです。
それ以来、この島では、海で亡くなった人の思いのこもったものを海に流し、「上がってこい、上がってこい」と強く願えば、タコがそれを抱えて上がってくる、と言われています。そして、それには死者の霊が乗り移っていて、島に上がってくる、とも言われています。
  
そのような言い伝えも薄れた頃、島の旅館に、直次郎という若い板前が住み込みで働くようになりました。
見習いの直次郎は、ある晩一人厨房に残ってタコの下ごしらえをしていました。けれど、タコの扱いに慣れていない直次郎の腕に吸盤が吸い付いて離れなくなってしまいます。その様子を見た旅館の娘の依子が助けに入ったところ、今度は彼女の腕にまでタコが絡みつきます。吸い付いた足を切っても、二人の腕と腕に一層強く絡みついて離れません。必死に引き離そうとした直次郎の包丁が、勢いあまって依子の顔をかすめてしまいました。
傷は大したことがありませんでしたが、女性の顔を傷つけたということに強い責任を感じた直次郎は、傷が治るまで、毎日包帯を換えて、依子に不自由がないように尽くしました。また、彼女の顔の傷を髪の毛で隠せるように、きれいなべっ甲の櫛を贈りました。
依子は、そんな直次郎の姿に心を奪われ、直次郎の献身的な振る舞いや贈り物が、自分への好意なのだと受け止めるようになりました。
傷が癒えてからも、仕事終わりに戸口で待っていたり、休日に遊びに誘ったり、ある時などは帰ってみると家に上がり込んで食事の支度をしていたりします。直次郎は、恋女房気取りでつきまとい、細々したことまで口を挟む依子が煩わしくてなりません。やめてほしいと言っても、依子は聞く耳を持ちません。強く言うと、当てつけがましく顔の傷を見せてきたりします。そうなると、直次郎もそれ以上の文句も言えなくなってしまいます。
しかし、直次郎には、故郷に残した恋人がいました。彼女とは、一人前になったら故郷に帰って結婚をする約束までしていました。
依子との関係がこのまま続いたら、その妖しい手に絡めとられて、この島から離れられなくなってしまうにちがいない。
じわじわとした不安に追い詰められた直次郎は、ある晩、依子を海岸に呼び出します。そして、自分の胸の内を打ち明け、「もう二度と付き纏わないでくれ」と伝えました。
依子は、「じゃあ、この顔の傷はどうしてくれるの?」と言って、髪を上げて顔の傷を突き出しました。けれど、直次郎はもう引き下がりませんでした。
「それなら、お詫びに俺が島を出ていくよ」
直次郎はそう言うと、彼女に背を向けて去ろうとしました。すると、背後で依子の声がしました。
「だったら、私がこの島を出て行くわ」
振り返ると、防波堤の上に立つ依子の姿がありました。直次郎が声を出す間もなく、依子はそのまま海に身を投げてしまいました。
彼女の姿は波間に消えて、駆け寄った時にはもうその影も見えなくなっていました。
  
依子の死を知って最も嘆き悲しんだのは、彼女の母親でした。
毎日浜に出ては娘の名を呼んで、その姿を探し求めます。いたたまれなくなった直次郎が島を去ろうとすると半狂乱になり、「あの子は絶対に帰ってくる。帰ってきたら、必ず一緒になってもらうからね」と言って離そうとしません。
ひと月も経とうとした頃、母親はあの言い伝えを思い出します。
あの子の好きだったものを海に流すと、戻ってきてくれるかもしれない。
ある新月の夜中に、母親は依子の部屋からべっ甲の櫛を持ち出すと、ひと目を忍んで、それを海に流し、「上がってこい、上がってこい」と唱えました。
それから数日後、漁師が引き揚げたタコが、一本の櫛を抱えていました。波に揉まれたその櫛は、何本も歯が欠けて持ち主もわかりませんでした。しかし、それを見た母親は、ひと目で依子の櫛だとわかりました。歯の欠けた櫛を胸に抱いた母親は、異様な喜びの目を見せて、「依子が戻ってくる」と呟きました。
 
その出来事があってから、島では不気味な噂が囁かれるようになったのです。
海辺からタコが上がってきたと思ってみたら髪の毛と歯が半分抜け女だった、夕暮れの海岸に全身が濡れた女が立っていた、夜中に窓を叩く音がするので見てみたらガラスいっぱいにタコの吸盤の跡がついていた……。
その時、島の人々はようやくあの言い伝えを思い出しました。
あの櫛と一緒に、依子の霊魂が海から上がってきて、島の中を彷徨っているのだ。
人々は、口々にそんな話をするようになりました。
しかし、櫛の歯が欠けていたために、依子は元の姿ではなく、禍々しいものに変わってしまったのだ。
人々は夜になると、玄関を固く閉ざすようになりました。しかし、あの旅館だけは玄関を閉じることはありませんでした。
そして、ある晩のこと、旅館の玄関が音もなく開きました。寝静まった館内に、腐った魚の匂いが漂い、濡れた足音が聞こえます。
翌朝、旅館の一室から直次郎の姿が消えていました。しばらくして、浜に打ち上げられた彼の死体には、夥しい吸盤の痕が浮き上がっていたと言います。
  
しかし、依子の思いは収まることがありませんでした。
月に一度、海から上がってくると、この旅館の中を彷徨い歩くのです。翌朝には、必ず誰かがいなくなっています。翌月には母親が、その翌月には父親がさらわれていきました。
旅館はとうとう廃業し、今では誰も泊まる者はいません。
けれど、今でも依子の霊は、毎月旅館にやってきます。
今度こそ、自分を愛してくれる男を探して。

PHOTO

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概要

タイトル 幽霊旅館
URL 『廃墟旅館お化け屋敷 幽霊旅館』公式HP
場 所 日間賀島の廃旅館にて 〒470-3504 愛知県知多郡南知多町日間賀島浪太11
期 間 2021年1月23日〜2月28日 追加公演:3月18日〜22日
時 間 予約制
料 金
所要時間
Staff [主催]知多半島観光事業協会[共催]日間賀島観光協会、南知多町観光協会[協力](株)オフィスバーン(五味弘文氏) [後援]名鉄海上観光船(株)、名鉄観光サービス(株) 、南知多町
お問合せ 公式サイトよりご確認ください

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