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こわい約束



こわい約束

 

場所 法多山尊永寺 宿坊
期間 2025年7月5日〜9月28日の土日祝、8月12日〜15日7月5日より開催!
 
  

何を訊かれても『はい』としか答えてはならないお化け屋敷

静岡 法多山 尊永寺でのお化け屋敷は今年で6回目。
法多山でしか味わえない、特別な恐怖体験をお楽しみください。


 
詳しくは「こわい約束」公式ページをご確認ください

  

ストーリー

叶恵(かなえ)は、幼い頃からわがままで、両親も手を焼いていました。
七つのお祝いにお参りに行く時のことです。
両親は叶恵に一つの約束をさせました。
「お寺に行ったときは仏様が見ているから、境内を出るまでは、いい子にしていないといけないよ。何を言われても『はい』と返事をして、『いいえ』とか『いやだ』とか言ってはいけない。この約束を破ると、大切なものを失うからね」
そう言われた叶恵は、深く頷きました。
境内に入り、お参りをして帰るまでは、叶恵は言い付けを守っていました。が、いよいよ境内を出るという時でした。
何軒も並ぶ出店の中に、一軒のお面屋がありました。セルロイドで作られた子供向けのお面が並んでいます。
その中に、可愛い女の子のお面がありました。髪の毛にリボンをつけて、大きな目で微笑みながら、叶恵を誘っています。叶恵はどうしてもそのお面が欲しくてたまらなくなりました。
「あのお面が欲しい」
いつものように母親にねだってみます。けれど、母親は聞く耳を持ちません。
「駄目よ。帰るわよ」
今日は、七つのお祝いの日です。もう叶恵も、仏様に護られる歳ではなくなってしまいます。そのために、今日は叶恵に約束をさせたのです。せめて境内を出るまでは、約束を守らせなくてはなりません。
「約束でしょ? お母さんが駄目って言ったら駄目。叶恵、『はい』って言って」
叶恵は小さく頷きます。けれど、叶恵はお面が欲しくてたまりません。
「『はい』って言って。言えるでしょう?」
母親が重ねて問い詰めます。
叶恵が『はい』と返事をしようとした時、お面屋の方から親子の声がしました。
「お面買って」
優しい声がそれに応えます。
「はい、はい」
その声を聞いた瞬間、叶恵の口から大きな声が漏れました。
「いやだ! 買って!」
そうなると、もう叶恵の気持ちは止まりません。
叶恵の頑固さに、いつのもように母親が根負けして、結局お面を買うことになってしまいました。
境内を出るまで、あと少しでした。
 
しかし、その晩のことです。
眠っている叶恵の耳元で、「お前のせいだ。お前のせいだ」という囁き声が聞こえてきました。
その声にうなされて目を覚ますと、あたりに焦げ臭い匂いが立ち込めています。慌てて跳ね起きた叶恵の目に、燃え盛る炎が見えてきました。慌てて外に飛び出した直後、家が炎の中で崩れ落ちるのが見えました。
その火事で、叶恵以外の家族全員が亡くなってしまいました。叶恵は、一晩にして大切なものをすべて失ってしまったのです。
慌てて逃げ出した叶恵の手には、あのお面が握られていました。それは、炎の熱で溶けて醜く歪んでいました。
お参りの時、『はい』の約束を破った自分のせいだ。
叶恵はそう考えるようになりました。
 
そんな出来事があって以降、『いいえ』とか『いやだ』とかを口にするのが憚られ、やがていつでも『はい』という返事しかしなくなりました。
『はい』としか返事をしなくなると、何かから解放されるような気持ちになりました。
自分の欲望や感情が希薄になり、あらゆることから興味が失せてきました。
何を言われても『はい』としか返事を返さないのは、自分自身がなくなったようで重い荷物をおろしたようです。
 
社会に出た叶恵は、ある会社の事務員として働くようになりました。
自分の感情を表に出すこともなく、命じられたことに『はい』と答えて淡々と仕事をする叶恵には、仕事以外で誰も話しかける者はいませんでした。
けれど、一人だけ叶恵に声をかけてきてくれる多惠子という同僚がいました。
多惠子も叶恵と同じように、社内では孤立した存在でした。二人が親しくなるのに、それほど長い時間はかかりませんでした。
ある日、会社帰りに二人は店に立ち寄り、同じ髪飾りを買いました。それは二人の友情の証でした。
 
ところが、その数日後、多惠子の髪飾りがなくなるという事件がありました。
会社の先輩社員が共謀して、大人しい多惠子に悪戯を仕掛けたのです。叶恵は、たまたまその企みを話している先輩社員の声を聞いていました。
しかし、先輩社員に「ねえ、まさか私が犯人なんてことはないわよね?」と問いかけられた叶恵は、『いいえ』と答えることができません。
それを口にしたら、また悪いことが起こるにちがいない。
そう考えたからです。
叶恵は、小さく『はい』と返事をするほかありませんでした。
 
その晩、叶恵に裏切られたと感じた多惠子は、命を絶ってしまいました。
 
その時、叶恵の中で、子供の時に封印した「感情」というものが蘇ってきました。
それは、悔しさと憎しみという名の感情でした。
けれど、感情を取り戻した叶恵は、その晩、自責の念に駆られ、自ら命を絶ってしまいました。
 
その遺体の顔には、あのお面が被せられていていました。
火葬の際に棺に入れられていたはずのそのお面は、なぜか焼かれずに残り、その後、それを持つ者にさまざまな厄災をもたらすようになりました。
祟りを恐れてお寺に納められてからも、さまざまな怪奇現象を引き起こしていると言われています。


概要

タイトル こわい約束
URL 「こわい約束」公式ページ
場 所 法多山尊永寺 宿坊 〒437-0032 静岡県袋井市豊沢2777
期 間 2025年7月5日〜9月28日の土日祝、8月12日〜15日
時 間 予約制
料 金 大人2000円 小中高1500円
所要時間 約30分
Staff
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